【個人で考えるまちづくり】地元の大型ショッピングモールでのイベントに出店しない理由

地方在住者にとって、大型ショッピングモールは最高に便利です。

ショップ・飲食店・映画館があり、わざわざ都心に出向く必要もなく、快適な空間です。

市政から見ても、大型ショッピングモールができると移住も増えて、税収面で大きなインパクトを与えることは一目瞭然かと思います。

そんなありがたいショッピングモールですが、ことイベントに関しては、僕は出店を控えています。

筑前津屋崎人形巧房では、工房内外で人形の絵付け体験を実施しています。

実績としては、以下のような場所です。

  • 国立大学
  • 県内外の屋外イベント
  • 福岡県庁
  • JR博多駅
  • 地元の公共施設
  • 中学校
  • 神社
  • カフェ
  • 無印良品店舗
  • 企業の入社式

いままで数千人の方に絵付け体験をしていただきました。

もちろん地元ショッピングモールでも実施したことがあります

現在も行政や商工会経由だったり、直接モール事業者様から声をかけていただくこともあります。

しかし現在はお断りしている状況です

その都度、お断りの理由を口頭で説明申し上げるのですが、内心は
「この説明で失礼になってないかな?」
と不安になっています。

ショッピングモールは、おのずと人がたくさん来ますし、駐車場も広く、トイレも使え、快適な空間で、イベントには最適です

けど僕なりにいろいろ考えて、いまはショッピングモールでのイベントには出店しないという結論にいたりました。

  • 「ショッピングモールからイベント出店のお誘いがあるけど、どうしよう?」
  • 「市のイベントをショッピングモールでしたい!」

という方も多いかと思います。

そんな方々の参考に少しでもなったら嬉しいなと思います。

なによりも自分の頭の中を整理して、
自分が地元にできること」
「個人の範囲でできるまちづくりとは?
を自問自答しながら説明できたらと思います。

理由①地方はショッピングモールに人が集まりすぎている

私たちの暮らす地域は「福津市」と言って、福間町と津屋崎町が合併して生まれた市です。

福間地区の森だった場所に大型ショッピングモールができ、多くの住宅ができ、移住者が増えました。

津屋崎地区は海沿いの古い港町で、大正時代ごろは多くの店舗が立ち並び「津屋崎千軒」と呼ばれていました。


いまはその面影が残るのみです。
(筑前津屋崎人形巧房もここに位置しています)

僕のまちづくりの願いとして、「津屋崎の活気を増やしたい」があります。

当工房は津屋崎のかつて「天神町商店街」と呼ばれていた場所に位置しています。

しかし、小さなころ大好きだった近所のお菓子屋さん・靴屋さん・鶏肉屋さんなどは、現在すべて閉まってしまいました

1994年ごろの津屋崎人形工房前(現:筑前津屋崎人形巧房前)
2022年の筑前津屋崎人形巧房の前

閉店の理由はたくさんあると思いますが、個人商店には厳しい時代となったのは確かです。

その中で筑前津屋崎人形巧房は250年を生き抜いてきました。

その希少性も一因で、ありがたいことにここ数年でTVや雑誌に紹介され、県内外からお客様に津屋崎に来ていただけるようになってきました

つまり「いまは津屋崎に人を呼ぶチャンスの時期」と捉えています。

地域のバランスを考えると、

①津屋崎内での取り組みで地元に活気

②福岡市内や県外でのイベントでPRし、遠くから来ていただける人を津屋崎に呼び込むこと

第一優先といえると思っています。

理由②すでに市内でイベントをしている

いくら津屋崎に人手を増やためといっても、外にばかり目を向けていてはいけません

福津市内での認知度向上も頑張っていく必要があります。

県外から移住された方も増え、福津に住んでいる人でも「津屋崎人形ってなんですか?博多人形とは違うんですか?」と聞かれます。

そのため年数回は、市役所主催の絵付け体験を行っています

この体験では津屋崎地区だったり福間地区だったりの公共施設を利用させていただいています。

津屋崎のまちおこしセンターでの絵付け体験

市の広報誌やHPで募集していただき、毎年多くの方に楽しんでいただいています。

毎年、定員オーバーになるくらいの申し込みをいただいているので、今後も公共施設を活用した体験を地道に続けていくことが大事だと思っています。

では、なぜ「公共施設」なのでしょうか?

理由③地方の公共施設の利活用を重視しています

僕は、公務員時代に財産管理を担当していました。

建物の維持管理は本当にお金がかかります。

建物だけでなく、そこに配置する人員、敷地内の草木の管理などにも、当然お金がかかります。

これらのお金は税金です。

公共施設は、存在するだけでお金がかかっていきます。

建物の維持費用は建築費用の3倍~6倍だといわれています。

利活用をしないと、資産ではなく負債化するのが建物です。

逆に言えば、活用されるほど、地域にとってはメリットがあります。

だからこそ、僕は「社員旅行等で絵付け体験がしたい」と依頼をいただいたときは、地元公共施設に相談していました。

また、行政から「公共施設に人を呼びたいから、絵付け体験してくれませんか?」というときも、なるべく出店しています。

このような場合は活力のある担当者の人であることが多く
「施設の利活用を推進したい」
「地域の人に身近な施設にしたい」との考えをお持ちです。

そのような方々と協力していくことは、市民サービスの充実など、長期的に大きなメリットを地域にもたらすでしょう。

元公務員目線でいうと、評価されやすい公務員は「建物を建てる(予算を取る)人」>「建物を上手に活用する人」なのです。

地方にありがちな「建ててしまって終わり」「維持管理にやたらお金がかかる」公共施設の乱立は、こういった仕組みが起因しています。

だからこそ、今ある施設の利活用を促進する人材は貴重であり、重要ともいえます

理由④公共施設から近隣のお店に波及する効果

また公共の施設の利用者が増えると、近隣を散策したり、「昼食は近くのカフェに行こう」とか「帰りに近くのパン屋さんに寄ろう」となることが期待できます。

公共施設をハブ(経由拠点)として、地域に人やお金が動くということですね。

これは、すべての活動がそこで完結してしまうショッピングモールにはない公共施設の活用メリットだと言えます。


【まとめ】「地方(津屋崎)への活気に直結すること」を優先させている

以上のことが、僕が地元ショッピングモールのイベントに出店しない理由です。

あくまで今の僕の考え・姿勢です。

ショッピングモールのイベントがきっかけで知名度が上がり、地域の小さなお店にお客が来ることだってあります。

多くの人が来る、施設面積が大きいショッピングモールだからこそ、できるイベントや展示もあるはずです。

またショッピングモールの利便性、公共施設の代用としての今後の可能性は無限です。

しかし、現状の私は人形製作の合間にイベントに参加する中で、「地元(津屋崎)への活気に直結すること」を優先させる必要があります。

僕はいままでたくさんの場所で、数千人の方に人形の絵付け体験をしていただきましたが、

  • 福津市内で絵付け体験をやるなら、公共施設か自店舗で、地域の店に活気を!
  • 遠くで絵付け体験をやるなら、人の多い場所でPRし、津屋崎に来る人を増やす

このすみわけが、いまの出来る範囲(時間・お金)で、一番地域のためになるのかなとの結論にいたりました。

たくさんの例外もありますし、今後もケースバイケースで考える続けることが大事なのかなあと思います。

そもそもショッピングモールがない地域からすると、贅沢な悩みだと理解しています。

また、地元がいまどのような状況にあるかで、できることは変わってくるのも事実です。

例えば空港近くのモールや大型駅ビルなどで、外国人観光客や県外観光客がお金を落とす、地域色の強い場所などは、地域に与えるメリットは大きいでしょう。

個人でできる範囲は限られますが、「考え続けて最適と思う行動していくこと」が大事だと思っています。

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