郷土玩具とはなんなのか?【読み方・意味・定義・由来】

郷土玩具とは?

筑前津屋崎人形巧房は、安永年間創業の津屋崎人形の工房です。

私たちが作る「津屋崎人形」は「郷土玩具」と言われます

「郷土玩具」の読み方は≪きょうどがんぐ≫です

郷土=地方や田舎 玩具=おもちゃ という意味です。


初対面の人に「郷土玩具を作っている」と言ったら、「え、おもちゃ屋さん?」と言われることもあります。

郷土玩具とはなんだと思いますか?

そこで、郷土玩具職人として郷土玩具を解説したいと思います。

郷土玩具のの定義

そもそもの定義として「かつては玩具として、子供の遊びに使われていたもの」は明らかです。
代表的なのは「こけし」「だるま」あたりでしょうか。


こけしは意図的に幼児が握りやすい形状に作ってあります。
そこからも玩具の名残がありますね。

だるまは、仏教由来の掛け軸や札から置き物が派生し、起き上がり小法師と合わさって、現在のだるまになったと言われています。

津屋崎人形も、笛やおしゃぶり、泥メンコなど、子供の玩具として作られていた人形は多く残っています。

もともとは色を塗らずに弾いて遊ぶおもちゃだった「津屋崎めんこ」


このように、郷土玩具は、由来や製造工程、材料などが千差万別です

共通してるのは、過去に玩具として製作されていた」ということくらいです。

郷土玩具の現在の存在意味


そして、今は玩具として遊ぶものというより、鑑賞用が主な役割・存在意味です。


観賞用というのは、見ていて触ってみて美的感覚や好奇心を刺激するもの」と言い換えることができます。

また、縁起物という役割もあります。これは「祈りや願いの具現化したもの」という位置付けで、ミニマムな仏像みたいなイメージです。
鑑賞して祈りのイメージを共有すると考えると、よりアートに近いと考えられます。

以上より、現在の郷土玩具は「玩具」ではなく、「芸術」に近いと言えます。

今後の郷土玩具はどうなる

今日の郷土玩具は、ほとんど玩具としては機能していません。
なのに「郷土玩具」としてひとくくりにされている、とても謎な?ものづくりなのです。

僕は正直、この言葉を変える必要があるのではと、考えています。

理由は、「玩具」と付くと「子供が遊ぶもの=安い」というニュアンスを感じるからです。


生活必需品でなく、伝統的な技法にこだわる場合、ものは高価になります

そして、多くの伝統的なものづくりは、もはや実用性よりも美を重視しています。

民芸品・工芸品・美術品の棲み分けはどうなる?


以前紹介したように、「伝統工芸」のみが法律で定義がされています。

定義されている「伝統工芸」以外は、日本で古くから作られている人形を再現すれば、海外からの安価な大量生産品も含め「郷土玩具」となってしまいます。

また、郷土玩具うつわなども含め「民芸品」とも呼ばれます。

民芸品は、もともとは著名ではない作家の品を表す言葉なのです。
これだけインターネットが普及すると、著名の定義も難しいです。


日本のものづくり全般が、イデオロギーや歴史を武器に戦っているアートな分野になっているということですね。

再定義の必要性

再定義なんか必要無い、郷土玩具でいいじゃないかという考えもあるかと思います。

しかし、郷土玩具という言葉には、実は金融上のデメリットがあります。

税法上のお話ですが、個人事業税において

  • 製造業→課税
  • 芸術→非課税

なので、同じことをしていたとしても、

  • 郷土玩具です。→課税
  • 芸術活動です。→非課税

というカラクリがあります。


これは文化的な業種を保護するための非課税枠なのだとか、、

最終的に、個人事業税は課税所得に対して約5%かかってきます
(ある程度の売上から課税対象になります)

長い目で見ると、とても大きな税額となりますね。

この辺の詳しいことは以下の本がおすすめです。

郷土玩具に対して製造業は幅が広すぎる

政府施策の恩恵を受けられないこともあります。

筑前津屋崎人形巧房は「製造業」として開業しています。
あらゆる公的な申請は「製造業」として行います。

例えば、国に対して、製造業のメジャーな補助金枠「業務改善やIT導入」を申請しても、人形の製作は手仕事なので、あまり良い申請書が書けず、採択が難しいです。

このような補助金は「新たなテクノロジーや技術」を評価し後押しする施策だからです。

しかし多くの郷土玩具をつくる工房は書類上「製造業」なので、他の町工場などと同じ土俵で競うのです。


生活非必需品を作る工房としては、そこに文化的や伝統工芸を加味した定義が入ってきていないのは、デメリットしかありません。



似たようなことに病名がつかない障害だと、保険がおりなかったり、障害者手帳がもらえなかったりすると聞きました。

日本は、法治国家です。


法律にて実態にあった定義がされていないと、基本的にデメリットしかないのです。

解決策としての「郷土芸術」

私は、郷土玩具ではなく、郷土芸術と呼ぶことが良いと思っています。

この郷土芸術は江戸時代の本「江戸二色」などにも使用されている、郷土玩具、民芸品、工芸品などの総称です。

※類語として民謡や舞踊は「郷土芸能」と呼ばれます。

これは、郷土玩具が鑑賞用となった現代においても、非常にしっくりする言葉です。

アートの部分(芸術)と庶民的なデザインの部分(郷土)だから「郷土芸術」です。

こうすれば、芸術活動として、胸を張って非課税を享受できます。


何よりもニュアンスが伝わりやすいと思います。

もともと庶民の道具として始まり、芸術として残っていった

「郷土芸術」はこのような意味を表現しています。


もし、この郷土芸術という言葉が法律等で定義され、伝統工芸とは違った形で認知されれば

より幅広いプロモーションができ、日本の文化の発信や地方の活性化などにも寄与するかと思うのですが、、

まだまだ道のりは長いですね。


2021年12月11日追記

津屋崎人形も掲載いただいているカーサブルータス1月号「部屋と置物。」

表紙に「郷土玩具 FOLK TOY」ではなく「郷土芸術 FOLK ARTと表記いただいていることに気がつきました。

少しずつアートと工芸の境界線も曖昧になってきました。 固定概念にとらわれず、いいと思うものを飾る時代ですね。

ネオ郷土玩具

そして、今は「ネオ郷土玩具」と呼ばれる、新進気鋭の作家さんが活躍しています。
古典的な製作工程を使って、新しく誰も見たことの無い作品が増えてきています。

郷土玩具をモチーフとして、さらに自分の世界観を融合させた作品は、よりアートに近いと思っています。

そんな作家さんを応援する意味でも、

  • 郷土芸術という言葉を浸透させる
  • 開業届けは「芸術家」として出す。←ここ大事ですよ笑

この点は重要になってくるかもしれません。

まとめ

日本は資源が少ない島国です。

今後は、固有の文化を発信し、外国から外貨を稼ぐ必要性も高まるでしょう。
その時に、より幅広いラインナップが必要です。

工芸も民藝も郷土玩具も、

「郷土芸術」Folk Art として、芸術としての価値を高め、世界を相手に幅広く攻めていく。

そんなことを考えたのでした。

(※ブログ内で「郷土玩具」という言葉も使っていきます、これは検索に引っかからないと元も子もないからです笑)


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