【廃棄?供養?】不要になった人形の処分について【人形師が解説】

昨今話題になっている断捨離や終活により、「古くなった節句人形、五月人形、雛人形などを処分したい」という相談を多く受けます。

古くから「目と口がついているものは捨ててはいけない」と言われます。

ぬいぐるみなども「捨てるのは悲しい」と感じる人は多いのではないでしょうか?


愛着や思い出がある人形だと尚更だと思います。

そこで、人形の処分に関して作り手目線での解決策をお伝えしたいと思います。

ぼくは作り手が「ゆりかごから墓場まで」つまり「製作段階から処分まで」のライフサイクルを考えることが、今後の伝統工芸やものづくりに必要だと考えています。

「売り切ったら終わり」だと、「長く愛用できる」という伝統的ものづくりの利点を失ってしまいますからね。

そんなところで、ぜひ参考にしていただけたらうれしいです。


以下、処分についておすすめ順に紹介しています。

本当に不要なのか確認


長年連れ添った人形というのは、購入した人やその家族にとって思い出の品です。
個人が不要と判断し、すぐに処分するのは危険です。


家族やそのお孫さんだったりが、「言ってくれたら貰ったのに!」ということもあります。
まずは写真などを見せて、必要な人がいないか探してみるのがおすすめです。

作り手に寄付する選択

節句人形というのは、家庭で我が子のように大事にされてきたという歴史があります。

作り手も同様で、一つ一つを我が子のように作っております。

そこで、作り手に返すというアイデアもあります。

特に古いものになると、作り手にとって貴重な資料となる可能性があります。
特に亡くなった先代のものなどは、作り手に返すと喜ばれます。

その際の注意点は


・電話やメールで確認する(ほんとうにその作り手の作品か?引き取ってもらえるか?)


・金銭で買い取ってほしいなら、最初にはっきりと伝える

となります。



当工房では、何度もやりとりをして、最後に「いくらで買い取ってもらえます?」と聞かれることがあります。

作り手にもよると思いますが、筑前津屋崎人形巧房では、金銭による作品の買い戻しは行っていません

金銭を支払うほどの余裕がないですし、帰ってきた人形を売るわけではなく、あくまで後世に伝える資料として保管するからです。

常に未来の製作のことを考えないと、仕事として成り立たないですからね。


先代の原田活男作などは、とても勉強になります。

最近は筑前津屋崎人形巧房製作以外の津屋崎人形も、お引き取りしております。

全盛期には4軒の津屋崎人形の工房があったため、津屋崎人形全般を引き受けることは義務だと思っています。

「終活で手放したい」と相談を受けた原田半蔵人形店のひな人形です。

あまりにも保存状態が良かったため、こちらで傷んでいたひな壇だけを補強し毎年ひな人形を飾りつける津屋崎の公共施設に寄付いたしました

「これからも多くの人に見てもらえる」と手放した方からも大変よろこばれました。

このように、地域の財産としても、人形が生きていく可能性があるのが、「作り手に返す」という決断です。

人形供養にだすという選択

人形供養は「地域名 人形供養」などでネット検索をすれば、該当の神社・寺院がわかると思います。


供養するというのは、「愛着があるモノに感謝する」という考えのもとに、一つの節目や区切りとして良いと思っています

特に破損や汚れがひどく、「人形(身代わり)としての役目を果たしてくれた」と考えられる人形には、このような方法が1番お勧めです。

費用は3000円〜が多いみたいですね。


【参考】日本人形協会の供養サービス

一般社団法人日本人形協会のゆうパックでの人形供養の代行サービスです。

費用は1箱5000円+ゆうパック料金です。

(箱の大きさが 縦+横+高さ の合計が170cm以上で、重量が30kg以上のもの)

毎年10月頃に行われる東京大神宮の「人形感謝祭」にてご供養いただけます。

リサイクルショップ(古物商)に出すという選択

経年変化、エイジングとも言われますが、古さも味となり、価値が出る人形なども存在します

そのような人形は、価値のわかる人に売るという方法もあります。

特に福助や招き猫などの人形だと、古い人形のコレクターの方々もいらっしゃいます。


必要としている人のもとに行くというのも、人形の役目かなあと思います


注意点!

「家に眠っている人形を買い取ります」というチラシを見て、業者を家に呼ぶと「貴金属をお願いします」とすごまれて、15万円相当の貴金属を2万円で安く買いたたくという事案があったそうです。1

これは「押し買い」訪問購入といわれ、ほかにも「なんでも靴を買い取ります!」や「不用品を買い取ります!」などで訪問し、強引に貴金属を買い取る手法のようです。

このような実店舗をもたない業者の場合、のちのち連絡がとれなくなり、あとで気が付いてもクーリングオフ(解約)ができないようです。

終活・断捨離ブームに乗じて年々増加傾向にあったようで、国民生活センターでは注意喚起をおこなっています。

 不用品を買い取ると言ったのに貴金属を買い取られた!!-終活の一環!?高齢者を中心に訪問購入のトラブルが発生しています- (出典:国民生活センター)

買取りは店舗(リサイクルショップや骨董品店)がある業者に、持ち込みや出張をお願いすることをおすすめします。

実際の店舗があるというのは信頼の証ですし、アコギな商売をしていると潰れますからね。

捨てるという選択

インテリアとして大事にしていたが破損してしまった人形などは、ワレモノとして捨てるという選択もできるかと思います。

人形(身代わりや祈りの形)としての役目はきっちり果たしてくれた(残ったのは破片)、ということです。


作り手として、捨てるという判断は「尊重すべき」と考えています。



捨てる際は、ぜひ人形に「ありがとう」と声をかけてあげてください。



その気持ちが最高の供養ですよ。


ネットオークションやフリマサイトに出すという選択

個人的にはお勧めしません。

買い手が現物を見れない。保管や発送などの手間がかかる。などのネット上のリスクがあります。

特にワレモノの土人形は、梱包に気を使う必要があり、破損のリスクと隣合わせです

以前、親戚がフリマサイトで先代の作を購入してましたが、到着時には大破してたらしいです。無念。

割れ物の土人形は、梱包にノウハウが必要です。

筑前津屋崎人形巧房では手間とコストをかけ厳重に梱包していますが、フリマサイトの出品者には、そのような意識が希薄な気がします。

また、作り手からみたら、ちょっと複雑な心境ということもあります。

もちろん、過去にお買い上げされた方には感謝ですので、最終的には所有者の自由です。


まとめ

作り手としては、役目を終えた人形は、寄付したり、捨てる勇気も持っていただきたいです。

ものはいつか壊れます。

人がいつか死ぬのと同じだと考えています。

人が死ぬから、人が生まれます。

ものが無くなるから、ものづくりができるのです。

同じような理由で、ぬいぐるみなどを捨てる時に悲しむ必要はありません。


今回のお話は、かなり作り手目線の考えです。

一つの参考にしていただけたら、幸いです。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA