日本の縁起物として代表されるのは、招き猫とダルマです。
試しにフリー素材で有名な「いらすとや」で【縁起物】で検索すると、招き猫とダルマが出てきます。
特に招き猫は、猫好きな人や、お店を始めた方の開店祝いのプレゼントにされたりと、現代でも人気が高いモチーフです。
また海外人気もあり、私が以前マレーシアに留学した時も、オフィスに招き猫が置いてありました。
今後、外国の方へ、招き猫(Beckoning Cat)をプレゼントする方もいると思います。
そこで、人形師の観点から、招き猫の由来や縁起、おすすめの招き猫などをご紹介します。
招き猫をご購入やプレゼントされる方の参考になればいいなと思います。
招き猫の由来
招き猫の由来は諸説あるのですが、江戸時代末期に誕生したようです。
ここでは、津屋崎人形の招き猫に関係する由来を紹介いたします。
津屋崎人形で明治〜大正に作られた招き猫は、細い顔で耳がピンと立っています。
津屋崎人形では、「狐が招き猫に化けていた説」など、稲荷信仰に由来すると言い伝えられています。
稲荷信仰に由来する招き猫
全国各地に存在する土人形は伏見稲荷大社にルーツがあります。
伏見稲荷大社の使いは「白狐さん」(びゃっこさん)と呼ばれる白い狐です。
白いのは透明を表現しているのだとか。
白狐さんは、古い招き猫と同様に耳がピンと尖っています。
稲荷神は、豊穣祈願の農業神でしたが、江戸時代には商業神として江戸をはじめ全国へ流布しました。
江戸の初期に伏見稲荷大社から始まった「伏見人形」は土人形の源流といわれており、京土産としても全国に土産物として流通したことで、現在の土人形が発展しました。
その中でも、白狐さんの人形が早い段階で作られ、流通していたようです。
また京都で招き猫の土人形も発生し、全国に流通しました。
白い肌、赤くピンと立った耳、細い顔など、白狐さんと招き猫の共通点は多いです。
事実として全国に残る古い土人形の招き猫は、狐顔の細い顔が多いのです。
これらより、招き猫は稲荷神がルーツだといえます(諸説あります)。
招き猫の縁起
なぜ、猫だけが「招き猫」という縁起物として地位を確立しているのでしょう。
犬やたぬきなど様々な動物の縁起物はありますが、全国レベルで手招きポーズだけで、アイコンとして成立しているのは珍しいです。
中国古典の故事には「猫が顔を洗って、その手が耳より上に出ると客が来る」という迷信があるそうです。
猫は食事後、髭の感度を保つために前足で、顔をこすります。
その動作が、客を手招きしているという縁起に繋がったのですね。
猫は日本人の身近な動物で、店先や道で様々な動きを見せていたのでしょうね。
手によって違う招き猫の招き効果
招き手の長さで、効果が変わってくるとされています。
耳を越して手を挙げているものが「手長」で、遠くの大きな福を招くのといわれています。
耳より下に控えめに挙げているものが「手短」で、近くのささやかな幸せを招くのだそうです。
手長に作るのは破損のリスクが多くなるので、大量生産ではない招き猫は手短が多いです。
このようなことを知っていると、招き猫も違った面で見ることができますね。
招き猫の左手上げと右手上げの違い
「右手」は多くの人の利き手で、お金を扱うことが多い手なので、金運にご利益があるとされています。
「左手」を上げた招き猫は人が寄ってくることから、商売繁盛にご利益があるとされています。
個人的には、全国的に古い土人形は「左手」上げが多いと感じています。
人とのご縁が、結局1番重要という考えがあったのかもしれません。
【まとめ】招き猫は狐だった?
いかがだったでしょうか。
古い招き猫が細顔な理由は、稲荷信仰の影響であると言われることは、ほとんど知られていません。
挙げている手や、手の長さで縁起が変わることも知らない人が多いのではないでしょうか。
そのような知識持っていると、より日本の文化として楽しめると思います。
単純に見た目が可愛い招き猫ですが、日本全国に招き猫があり、製法も種類も膨大です。
津屋崎人形の招き猫も、もちろんおすすめです。
とにかく大量の招き猫を見たい!という方は、招き猫百科をご覧になってください。
アートから工芸、企業のノベルティまで、全ての招き猫を網羅しようという気迫がある一冊です。
(津屋崎人形の招き猫も紹介いただいてます)